サクソフォンにおけるリードの選び方【番手】
サクソフォンの音が出る仕組みの上で、一番重要な役割を担っているのは「リード」です。
自動車で言うところのエンジン、人間で言うところの心臓のようなものでしょうか。
リードが高速で振動することによって、サクソフォンの音が発生しているのです。
リードはたくさんの種類が出ていますが、大まかに分類すると次のような点が違います。
- 番手
- カット(削り方)
- 素材
- サイズ
今回の記事では、この中でも番手について語っていきます。

■リード(Reed)とは?
薄い板状のパーツのことで、サクソフォンはもちろんクラリネットやオーボエの発音源です。
一般的には木製(植物)の葦(アシ)で作られていますが、最近は人工素材(樹脂やプラスティック)のものもあります。
ちなみに、ハーモニカやアコーディオン、オルガンも広い意味ではリード楽器に分類されていて、板状のものに空気を流し込むことで板が振動して音が出るという仕組みが同じだからですが、こうした楽器のリードには金属製のものが使われることが多いようです。
特に木製(葦)のリードは、育成環境などの影響でどうしても個体差が出ます。
使いにくいリードや期待通りの音が出にくいリードがあるのはそのためですが、その差の1つとして次に紹介する「番手」があります。
■リードの振動が起こる仕組み
サクソフォンの音が出る=リードが振動するために、私たちは何をする必要があるのか。
その条件を次のように整理してみます。
- マウスピースとリードの隙間に息を流し続けること
- マウスピースとリードの隙間を適度に狭くすること
この2つの条件が揃ったときに、リードは振動を始めます。逆に、どちらかの条件が未達成であれば音は出ません。(電化製品を使うときの、電気を流して主電源ボタンを押すのと似ていますね。)
もし音が出ないと思ったら、1.の「マウスピースとリードの隙間に息が"通っている"か"通っていない"か」のどちらかをチェックしてみてください。
- 息が通っている場合:
リードを上方向に押し上げてマウスピースとリードとの隙間を少しずつ狭くしていくと音が出るコツを掴めます。 - 息が通らない場合:
リードがマウスピースにくっついてしまうほどリードを強く押し上げてしまっているのが原因です。まずはリードを絶対に締め付けずに、マウスピースとリードとの隙間に息を通す練習から始めてみましょう。(息を通すだけではまだ音は出ないのが正解です)そのあと、徐々にリードを上に押し上げて音が出る(リードが振動する)はずです。どのくらい押し上げたときが一番良い音かを、微調整をしながら探してみてください。
こちらの画像は、以前のブログ記事【サクソフォンのリード、「髪の毛1本分下げる」って本当?】でも掲載しましたが、改めてチェックしてみてくださいね!


■「番手」とは?
「番手」という表現をすべきかどうかも迷いました。このあたりは説明するのが少し難しい概念なのです。
英語での表記としては、
Strength
と書かれていることが多いです。
つまり、「強さ、強度」です。
いろいろ調べたり人に話を伺ってみると、音を出すときの抵抗感を表す指標のようです。
それを決めているのが、
素材の硬さ(密度)
というのが正しいようです。よく『リードの"厚さ"』と言われることがありますが、実は同じモデルのリードであれば、削る寸法(厚さ)は全く同じように作られています。削り上がったリードの「しなり具合(柔軟性)」を機械で測定し、その個体差によって箱に振り分けているのです。
つまり、番手は厚さではなく「硬さ」なのです。
そして商品によって番手の表記方法が違いますが、
【3】や【Medium】
が中庸(標準)とされています。
ちなみに、この番手の表記が数字ではなく英語の場合、Medium以外に【Soft】や【Hard】というものがあります。
この言葉からも、リードの番手は「厚さ」ではなく「硬さ」であることがわかりますね!
■番手の選び方
ここまでの話でだんだんと理解が深まってきたと思いますが、
リードの番手は、次の要素との組み合わせで決まります。
- 演奏方法(リードを押さえるパワーと息のパワー)
- マウスピース(ティップオープニングの広さなど)
リードを強く押さえて息を強く入れる演奏方法をする人は、リードの番手が強い(大きい・硬い)ものを選ぶと良いですし、
リードを軽く押さえて弱い息で演奏する人は、リードの番手は弱い(小さい)ものを選ぶのが良いわけです。
✅️息のパワーとのバランスも大切です。
厚くて硬いリードは曲がりにくいので、これを振動させるためには強い息が必要になりますし、
薄くて柔らかいリードであれば弱い息で簡単に振動します。
こういう言い方をすると、息を弱く入れるほうが楽だと思いがちですが、息を強く入れて大きな音を出したいときに、番手の小さなリードは応えてくれないという見方もできるのです。
✅️マウスピースとの相性も重要です。
マウスピースの開き(ティップオープニング)が狭い場合は、あまりに簡単に曲がってしまう柔らかいリードだとコントロールが繊細になりすぎるので、それなりに抵抗感の強いリードを選ぶとバランスが取れることがあります。
逆に、ティップオープニングが広いマウスピースを使うのであれば、リードをたくさん押し上げないとリードの振動は始まらないので、柔らかくて少ないパワーでリードが曲がってくれる柔らかいものを選ぶと良いと思います。

■サクソフォンのリードの種類は?
一般的に使われている代表的なサクソフォン用のリードを簡単にご紹介します。
まずリードと言えばVandoren(ヴァンドレン、ヴァンドーレン)というブランドが最大手の1つと言えます。
その中でも特に一番売れているかもしれないものは、
●Traditional(通称:青箱)
というものです。
箱にTraditionalというモデル名が一切書いていないのは今でも不思議に思いますが、とりあえずこれを使ったら間違いない、と世界中で人気のあるリードです。
※もっと青い箱があるのにこの商品を「青箱」と呼ぶことに抵抗がある協会に入会したい
他にも、V12やV16、Javaなどいろいろな種類が出ていて、それぞれ少しカットの仕方が違うことでリードの振動の具合いが変わり、吹き心地や音色が異なります。
番手については、日本ではずっと昔から一般的に
- 2 1/2(通称2半)
- 3
- 3 1/2(通称3半)
が人気ですが、個人的には最近のリードは昔に比べて少し硬い気がしていて、完全な初心者であれば【2】も選択肢に入れて良いと感じています。
そして、D'addario(ダダリオ、旧:Rico)もかなり人気があり、Vandorenと並んで2大リードブランドと言えるかもしれません。
現在のラインナップとしては、ReserveやRoyal、La Voz、さらには人工素材と天然素材のハイブリッドの構造で作ったVENNという商品も注目されています。
他にも様々なブランドや商品があり、ここですべてを取り上げることはできませんが、
自分に合うベストリードがどれかを調べるには、いろいろ買って試してみるしかないので、
初心者のうちは楽器店に必ず置いてあるような一番の売れ筋から選んで使うか、
サクソフォンの指導者に直接アドバイスを受けることをオススメします。

■上級者は硬いリード...?
よく中学や高校の吹奏楽部で聞く考え方で、次のようなものがあります。
- 『初心者が使うリードは2半』
- 『上達すればするほど硬いリードにする』
- 『上級者は3半』
しかし、ここまで読んでくれた方は気付いていると思います。
必ずしもそうとは限らない、と。
楽器の演奏に限った話ではありませんが、大切なのは次のアプローチです。
- 使用者が、道具に合わせた使用方法をとる
- 使用者の使用方法に合う道具を使う
2半のリードを使うための演奏方法があるし、2半のリードに合うマウスピースがあるということです。
3半も同じです。
そして、それぞれの硬さが持つ音色の違いがあるのです。
それぞれの得意な音もあります。
- 柔らかいリード:
低音域を発音しようとしたときの反応が速いですが、高音域を出すのは繊細なコントロールが必要です。
また、爽やかで明瞭な音色を出すのが得意なリードと言えます。
- 硬いリード:
低音域を発音しようとしたときの反応は遅くなりますが、高音域を出そうとしたときのアンブシュア(口周りのセットの仕方)は少しくらい雑でもある程度強引に出しやすいです。
音色としては、厚みがあって輪郭がボヤケた音になりやすい気がします。
また、音色については、
演奏する環境(家のリビング?練習室?コンサートホール?ライブハウス?)によっても違った響きになります。
サクソフォンの経験が何年であろうと、実力がどうであろうと、リードは自分に合ったものであればそれが一番良い演奏に繋がりますし、演奏者の対応力があればどんなリードでも演奏技術で対応できるので、ある程度の演奏レベルは確保できます。
実際に、世界の第一線で活躍している演奏者の使うリードの番手として、2半を使う人も4を使う人もいて、実に様々です。
上級者だから硬いリード...
硬いリードが使えないから下手なのか...
などと考える必要はないのです!

